モニターのキャリブレーションをしました
6〜7月の間にMacを買い替えたりモニターを新しくして、制作環境を変えました。
前回はiMacの27インチを使っていたけど、今回はコロナの影響で欲しい機種があっても2ヶ月ほど待つ可能性もあったので、appleの整備済み品でMacBook Proを購入して、モニターは外付けにすることにしました。
使っていたiMacが一日おきに強制終了を繰り返していて、完全に壊れる前に移行したかったので急いでいたのが一番の理由です。他にも円安の影響でキャリブレーターも半月後くらいには5千円ほど値上がりすると聞いたので急いでいました。
同業の友人が最近キャリブレーションをしたと聞いて、私も今回やることにしました。モニターやキャリブレーターはどれがいいのかよくわからず、友達に教えてもらったり、メーカーにメールで問い合わせたり、YouTubeを検索して情報を集め、Amazonのプライムセールで購入。時間を置くと円安の影響がもっと出てくるのではないかと思いその他細々したものもこの機会に購入しました。ちょうどセールの時期が近くてタイミングが良かったです。

目次
キャリブレーションしたかった理由
私の仕事は最終的に印刷物として完成するものが多く、イラストを納品後は完成品をお送りいただくまで印刷でどのようになっているのか分かりません。(色校を見せていただけるお仕事もございます)
使用する紙などでも印刷の結果は違うと思いますが、「思っていたのと違う」というのを、できるだけ小さくするためにキャリブレーションをすることにしました。
現在の環境
- MacBook Pro13インチ(M1チップ)
- OS12.4
- メモリ16GB
- SSD1TB
- モニター、BenQ SW270C
- キャリブレーター、Datacolor SpyderX Pro
※MacBook ProはUSB Type-C、SpyderX ProはUSB Typ-Aなので、変換アダプターも使っています。

キャリブレーションしたモニター
BenQのモニターと、MacBook Proのモニターもキャリブレーションしました。クラムシェルの状態で使っているので普段はMacBook Proの画面は使いませんが、せっかくなら両方できるものが欲しいと思って、それができるキャリブレーターを選びました。メーカーに問い合わせました。
- 27インチ以下
- USB Typ-Cで接続できる
- 使用しているマシンMacBook Pro (13-inch, M1, 2020)
- MacBookProのモニターと、外付けモニター、両方をキャリブレーションしたい
- イラストと刺繍作品をスキャンや写真撮影した物の色の調整の用途
以上のような希望があり、それをお伝えしてどの機種が適しているのか教えていただきました。
絵の制作の工程
現在はiPadのprocreateというアプリでラフも着色もおこなっています。RGBで描きそれをPhotoshopに持っていってCMYKに変換して色の調整をしています。
procreateでもCMYKで描けますが、大きなサイズのイラストはレイヤーが足りないので、パーツに分けてprocreateで描き、Mac上のPhotoshopで合体させています。その時にprocreateのCMYKで描いていると、周囲に白い縁のようなものができてしまいました。解決策が見つからなかったので、RGBで描いてPhotoshopでCMYKに変換しています。
CMYKに変換してから色の調整はします。
黄色と黄緑と濃紺
どんな色を使うかなど人によって違うと思いますが、私の場合は黄色や黄緑が黒ずんだ感じになることが気になっていました。まだキャリブレーション後の環境で描いたイラストの完成した本は見ていませんが、色校を見せていただけた時に黄色が綺麗に出ていてとても嬉しかったです!(黄緑は今回使っていませんでした)
他には夜の場面のイラストで紺色が濃すぎたと思ったことがあったので、今後は夜の場面のイラストを描く際に、そこがいい具合になっているといいなと思います。これは自分がイラストを描くときに明度の幅を広く使って描こうとする癖のせいもあるかと思います。。。気をつけなければ
キャリブレーションにかかる時間
1台につき10分くらいで済みました。初回はインストールや設定があるのでもっとかかります。先日そろそろまたキャリブレーションしてください、というアラートが出たので近日中にやろうと思います。
キャリブレーションする時の部屋の明るさ
夏の昼間に遮光カーテンを閉めて部屋の電気は消した状態でやりました。遮光カーテンですが穴あきで模様が入っているので完全に暗くはならないですが、部屋の電気をつけた状態だと明るすぎると注意が出ました。
他に候補にしていたモニター
以前、外付けのモニターでEIZOのを使っていたので、今回も候補に挙げていましたが、クーポンか何かで値引きできたので、最終的には価格でBenQに決めました。差額は2〜4万くらいだったかと思います。
もう少し安いモニターをキャリブレーションしたらダメなの?
以前外付けで使っていたのは3万くらいのものだったので、それくらいのをキャリブレーションしたらダメなのかな?と思ったんですが、多分それだとキャリブレーションの意味がないっていうことなのかな?
そう理解しているのだけど大丈夫だろうか。。。
キャリブレーションするモニターが、sRGBやAdobeRGBの色をどのくらい再現できるのか。私が購入したのだと確か99%とか再現できます。でも安いのだとその%が低い。となるとせっかくキャリブレーションしても、モニターが再現できないので、見ている色と違うものが出てきちゃう。そういうことかな。
最後に
私の周りの同業者の友人でもキャリブレーションをしている人は少ないです。ただ興味を持っている人はいらっしゃったので、ブログに私が導入した時のことを書きました。
キャリブレーション後に、CMYKの色見本帳とモニターで表示した色を比べてみたけれど、はっきりと同じとは言えませんでした。近いとは思いましたが、環境の光の具合で全然違って比べるのが難しかったです。
ただ、キャリブレーション前のモニターと、キャリブレーション後のモニターでは、キャリブレーション後の方が画面がくすみました。
印刷で出る範囲の色しか表示していないので、そうなるんだろうなと思います。
導入を検討されている方の参考になれば幸いです。
追記2022/10/28
モニターをキャリブレーションした環境で制作したお仕事が手元に届きました。
色校をいただいていたので、その時と同じ仕上がりでした。キャリブレーション前には気になっていた黄色のくすみがなくなっていて、思っていた黄色に。モニターと全く同じかというと違うと思いますが、結果は大変満足しています。
黄緑も黒っぽくなるのが気になっていたので、他のお仕事で黄緑を使ったものが完成して手元に届くのが楽しみですが、少し先になりそうです。
1ヶ月ごとに「そろそろキャリブレーションしてね」という通知が来るようにしているので、2〜3回ほどすでにやっています。忙しい時は後回しにしていますが、1週間ほどずれ込んでもほとんど数値は変わっていないので、確認作業という感じですがせっかく高いモニターを購入したので、面倒くさがらずにやろうと思います。(キャリブレーション自体は10分かからないくらい)
キャリブレーションが終わると、何もしてない場合のモニターの色と、キャリブレーションした場合のモニターの色を比較できるんですが、何もしていないとかなり青白い感じで、キャリブレーションすると黄色がかった感じになります。なのでやるのとやらないのではかなり差がありそうです。
追記2023/5/9
キャリブレーションの作業自体は短時間で終わるのですが、やっぱり面倒で後回しにしてしまうこともあり、2ヶ月くらい放置してしまうこともあります。それでも数値はあまり変わっていなかったので、問題なく色は見えていたはずです。ホッとしました。せっかくモニターとキャリブレーターという高い買い物をしたので、ちゃんと活用したいですね。今回はひとつのお仕事が着色作業に入る前にチェックしました。